当中間連結会計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化や雇用·所得環境の改善、設備投資の持ち直しなどを背景として緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、原材料・エネルギー価格の高止まりや不安定な為替相場、それらを背景とした物価上昇や消費マインドの冷え込みなどにより、依然として先行き不透明な状況が続きました。
当社に関連の深い住宅業界について、新設住宅着工戸数は、長期にわたる持家の減少傾向が継続し、全体では昨年度並み(2024年4月〜9月、前年同期比99.2%)となりました。
こうした状況において、当社では当事業年度を初年度とする第4次中期経営計画を立ち上げ、「コア事業領域の深化」、「新たな益事業の創造」、「経営基盤の強靭化」を3つの重点戦略として設定し、建設業界におけるイノベーション創出と、継続的な事業拡大と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めております。当期間においては、市況の変化を踏まえた営業体制の強化と、収益性・効率性向上のため、部門の分化と統合を実施しました。
以上の取り組みの結果、当中間連結会計期間における売上高は5,342百万円(前年同期比5.6%增)、営業利益168百万円(前年同期は営業損失23百万円)、経常利益166百万円(前年同期は経常損失26百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益136百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純純損失20百万円)となりました。
セグメント別の業績については、後記グラフの通りです。
足場施工サービス事業につきましては、住宅価格値上がりによる消費者の購買意欲低下などを背景とし、新設住宅着工戸数の減少が続く中、主要な取引先である大手ハウスメーカーにおいては単価設定見直しなどの取り組みが見られ、住宅の受注は底堅く推移しました。
このような状況の中、当事業においては、市況の影響により受注数量が前年同期比で減少しましたが、法改正による足場仕様厳格化への対応、重点顧客への品質強化施策などを要因とした適正価格での受注推進を行い、売上は微増となりました。また価格転嫁の取り組みのほか、特定技能制度の積極的な活用や現場管理の厳格化による採算性の向上も後押しとなり、利益面においては増加基調となりました。
製商品販売事業につきましては、資材価格の高止まりとそれに伴うレンタル需要の高まりなどにより市場全体の購買意欲が低下する中、法改正への対応などによる各施工会社の部材不足により、一時的に需要持ち直しの動きが見られました。
当事業においては、商品別では「ビケ部材」の売上が大きく伸長し、また価格転嫁の取り組みも後押しとなって、増収増益となりました。
海外事業につきましては、在外子会社のあるシンガポールでは、中国経済持ち直しへの期待などを背景として、建設業を中心に生産拡大の動きがみられ、景気は堅調に推移しました。事業を取り巻く環境としては、主要な需要先である石油化学産業において、環境規制の強化により投資抑制の動きが強まりました。
このような状況の中、当事業では最低賃金見直しを受けた給与引き上げや物価高騰などにより費用増となりましたが、値上げ交渉の継続や新たな需要分野の開拓といった、諸施策の積極的な推進に為替の影響も加わって、増収増益となりました。
■当中間連結会計期間の業績について
■下期の業績見通しについて
第3四半期以降の経営環境については、景気が緩やかに持ち直しつつも、米中の貿易摩擦が再燃する懸念や地政学的リスクなどの不確実性もあり、先行きは不透明です。建設業界においては、建設コストの高止まりや住宅ローン金利上昇に対する懸念などから、新設住宅着工戸数は低調な推移が予想され、一方で企業の設備投資意欲の高さから民間非住宅建設投資は底堅い伸びを見せると想定しております。
足場施工サービス事業においては、2024年4月施行の足場に関する法改正により、足場仕様の厳格化が進んでいます。これに伴い、業界全体で1現場あたりの部材数や作業時間が増加し、労務費の上昇が見られることから、足場施工会社への負担が増大しています。その結果、住宅業界における足場施工会社の淘汰が進むと予測されています。新設住宅着工戸数全体が減少傾向にある中、こうした状況下においても、当社の豊富な保有部材数や長年培った施工ノウハウを活かした品質を強みとし、ハウスメーカーからの受注量は昨年度並みで推移する見込みです。またレンタル事業においては、物価上昇の影響もあり、足場資材の購入に慎重な市況であることから、レンタル需要を喚起し、新規顧客獲得に取り組んでまいります。さらに外国人特定技能人材の更なる採用や入国後即戦力化するための多様な教育を進めることにより、施工力増強・施工効率の向上を進めてまいります。
製商品販売事業においては、建設資材の高騰が続くものとみられ、顧客の仮設資材の調達意欲は低調に推移すると見込んでおります。そうした状況の中、2024年4月の法改正に対応するための仮設資材の追加購入需要が高まってきております。需要を的確にとらえるとともに、レンタルいただいているお客様に対して、次世代足場「レボルト」の更なる販売展開を進めてまいります。
海外事業においては、シンガポール子会社の主要な受注先である石油化学産業において、同国の環境規制の強化により投資抑制の動きが強まることで、受注機会が縮小しております。この状況変化を事前に予測し、石油化学産業以外への受注拡大に着手しており、受注先多様化により安定した収益源確保を図ります。同時に、足場工事においては、収益性の高い案件へのシフトにより、利益確保に努めてまいります。